卵巣腫瘍
卵巣腫瘍には、良性腫瘍(卵巣嚢腫など)、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍(がん)があります。卵巣嚢腫の約90%は良性で、約10%が悪性とされています。
良性腫瘍
卵巣嚢腫とは、卵巣に液体や脂肪がたまって大きくなる良性の腫瘍です。卵巣嚢腫は、中身によって、漿液性嚢胞、粘液性嚢胞、皮様性嚢胞、チョコレート嚢胞の4種類に分類されます。
症状
嚢腫が小さい場合、自覚症状はありません。大きくなれば、腹部膨満感、下腹痛、便秘の症状が出現したり、下腹部のしこりを触れることもあります。卵巣嚢腫が大きくなれば、卵巣嚢腫の茎捻転がおこり、急激な腹痛がおこることもあります。
検査
超音波(エコー)検査をまず行います。卵巣嚢腫が大きい場合や悪性の可能性が否定できない場合は、血液検査(腫瘍マーカー)、MRI検査などを行います。
治療
卵巣嚢腫が大きい場合(7cm以上)や悪性の可能性が否定できない場合は、手術を行います。悪性の可能性がほとんどない場合は、卵巣嚢腫のみ切除します。
境界悪性腫瘍
境界悪性腫瘍とは良性と悪性の中間的な性格を示すもので、組織診断で確定します。悪性腫瘍と比べて予後は良好で、多くの場合、手術のみで完治可能です。
悪性腫瘍(卵巣がん)
卵巣がんも小さい場合、自覚症状がないことが多いです。腫瘍が大きくなると、膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管圧迫による下肢の浮腫などがおこります。腹水がたまると、お腹が張って腹囲が増大します。
治療
卵巣がんの治療の基本は、手術をして腫瘍をできる限り摘出することです。手術で腫瘍が残存した場合、抗がん剤を用いた化学療法を行い、その後再び手術を行い、できる限り腫瘍を摘出します。進行している場合は、術前に化学療法を行う場合もあります。