不妊症
避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合を不妊症と定義しています。一般的に、健常なカップルが定期的に夫婦生活を持っていれば、6カ月以内に約70%、1年以内に90%近くが妊娠するといわれています。日本では、挙児希望のあるカップルの10~15%が不妊といわれています。
原因
不妊症の原因については、排卵因子(排卵障害)が10~15%、卵管因子(卵管通過障害)が30~40%、子宮・頸管因子(子宮の形に異常があるもの、頸管粘液が少なく精子が子宮内に進入できない場合)が10%、原因不明不妊が10~25%、男性因子(乏精子症、精子無力症、精管閉塞など)が30~40%といわれています。
検査
- 血液検査:月経2-5日目と黄体期にホルモン検査を行います。
- 通水検査:月経終了後に卵管が閉塞していないか検査を行います。
- 精液検査:採取用容器をお渡ししますので、御主人が来院する必要はありません。
- 子宮頸管クラミジア検査
治療
- タイミング指導
エコーで卵胞発育をチェックし、卵胞が成熟すれば排卵検査薬を用いて排卵日を同定します。 - 排卵誘発
タイミング指導1~3クール行っても妊娠しない場合、自然排卵がない場合はクロミフェン療法(排卵誘発剤の内服)を行います。月経3-5日目から排卵誘発剤を5日間内服し、エコーで卵胞発育をチェックし、卵胞が成熟すれば排卵検査薬を用いて排卵日を同定します。その後必要に応じて、hCGの注射を行います。
クロミフェン療法で排卵しない場合は、排卵誘発剤の注射(hMG-hCG療法)を行います。 - 人工授精
排卵誘発剤による治療を約6周期行っても妊娠しない場合、精液検査で乏精子症を認める場合は、人工授精を行います。排卵誘発剤を用いて卵胞発育を促し、エコーで卵胞成熟が確認できれば、人工授精の日時を決定します。精液採取用の容器をお渡ししますので、人工授精当日にご自宅で採取し、持参していただきます。精液を滅菌フィルターで除菌した後、子宮内に精液を注入します。
人工授精を約6回行っても妊娠しない場合、卵管閉塞している場合、重症乏精子症や精子無力症の場合は、体外受精、顕微授精の適応となりますので、専門施設に紹介させていただきます。