性器クラミジア感染症
Chlamydia trachomatisという菌により子宮頸管炎をおこし、子宮頸管から子宮・卵管・腹腔内に達して、子宮内膜炎、卵管炎、卵管周囲癒着、骨盤内炎症性疾患をおこします。男性では尿道炎や精巣上体炎を引き起こします。
潜伏期間は1~3週間で、男性の50%、女性の80%は無症状ですが、女性では不妊症や異所性妊娠の原因となることもあります。また妊婦が感染していると、流産や早産となったり、産道感染により新生児結膜炎、肺炎を発症したりすることがあります。
クラミジアによる咽頭炎も発症するため、喉の痛みなどの自覚症状がある場合、咽頭のクラミジア検査もおすすめします。
治療
抗生物質を内服します。
性行為で感染するため、パートナーも同時に治療する必要があります。
淋菌感染症
Neisseria gonorrhoeae による感染で、女性は男性より症状が軽く、おりものの増加、不正出血があることもありますが、無症状のことも多いです。放置すると不妊症の原因となります。1回の性行為による感染伝搬率は30%と高率です。また、淋菌とクラミジアは同時に感染している場合が多いです。性器感染者の10~30%に咽頭感染を認めるため、咽頭の淋菌検査もおすすめします。
治療
抗菌薬の点滴治療を行います。(1回のみ)
性行為で感染するため、パートナーも同時に治療する必要があります。
トリコモナス膣炎
トリコモナス原虫による膣炎で、泡沫状で悪臭がある黄緑色のおりものが出ます。性行為による感染がとほんどですが、タオル、風呂などから感染することもあります。
治療
抗生剤の膣錠あるいは内服で治療します。
性行為で感染するため、パートナーも同時に治療する必要があります。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウィルスⅠ型またはⅡ型による感染で、潜伏期は2-10日です。
初発の場合、発熱、倦怠感、外陰部に潰瘍や水疱が出現し強い痛みがあります。一度感染するとウィルスが体内に潜伏し、体の抵抗力が低下した時や、性交など何らかの刺激があった時に再発することがあります。再発した場合の症状は初発より軽度です。
治療
抗ヘルペスウィルス薬を内服します。
性器ヘルペス病変が小さく症状が軽い再発の場合は軟膏を塗布します。繰り返す場合は、再発抑制療法も行っています。
尖圭コンジローマ
主としてヒトパピローマウィルス6型、11型感染によってできる良性の乳頭腫です。潜伏期間は3週間~8カ月です。外陰部、肛門周囲、膣、子宮頸部に鶏冠状のいぼを形成します。自覚症状はあまりありませんが、下着に擦れると痛みを感じることがあります。
治療
コンジローマに効果があるクリームを患部に塗布します。(10%前後は3カ月以内に再発するといわれています。) その他の治療として、三塩化酢酸の塗布、外科的切除、電気焼灼があります。